Japanische Klassiker mit Furigana
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ちよこ
千世子
宮本 百合子
Lesen Sie 千世子 (ちよこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 83.104 Zeichen · 164 Bildschirme
ローソクを消すのも忘れた様に千世子は立ったまんまで居た。フッとふりかえったHはおどろいた様なかおをして云った。
「どうなすった? 今頃――」
「ねられなかったんですワ」
「ねられない? 私も、だからこうやってさっきっからここに来てたんです」
「そう、だけどいいあけ方です事ネエ、部屋でさっきっからいろんな事を思ってよろこんで居たんですワ」
千世子は夜はねなくっちゃあならないもんだって云う事を忘れてしまった様にうきうきした声で云った。そして火のそばにラシアの足台をもって来てそれに腰をかけて白い毛につつまれた足を二つ小さくそろえた。桃色の着物はスーッとゆるやかに流れて房のボッチがHの茶と紺の縞の房とならんで美術的な色や形をして居た。二人はややしばらくだまって薪のはぜる音をきいた。
「あしたつかれましょう?」
Hがいかにも大切らしい口調できいた。
「そんな事あるもんですか、ネエ、さっきも私そう思ってたんです、今までにないほど今日のあけ方をうれしく思わせて下さったからお茶時にはおいしいものを御馳走してあげようとネエ。随分馬鹿らしい事だけれ共さっきは真面目で考えたんです」