Japanische Klassiker mit Furigana
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ちよこ(さん)
千世子(三)
宮本 百合子
Lesen Sie 千世子(三) (ちよこ(さん)) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.906 Zeichen · 54 Bildschirme
肇はほんとうに沈みきった目附をした。
そして小机が一つ置かれて居る陰の多い部屋とうす赤い盛花の色を見て居た。
「おっしゃいな? いやなんですか?
「いいえ、でも何と云い出したらいいんだかわからないんでねえこまってるんです――が、
私が一番辛い事に思ってる事は両親になつかれないって云う事なんです。
年を取った親達はもうやたらに私をたよりにして居るのを見れば見るほど離れた気持になって来るんです。
どんなにつとめて思いなおしても。
「両親からはなれた気持になる?
小さい時に私も一時そんな事があったんですよ。
どうしていやなのか?
って聞かれればわけははっきり云えませんけどねえ、明けても暮れてもいやに陰気くさい子で居ましたっけ。
でも私はほんとうになおるもんだと思いますよ、
今なんか私はそりゃあ打ちまけて母親にすべてを云える気持で居ますもの。
両親にはなれた心を持って居るものの不幸な事なんかもこの頃は思ってます。
「どうなったってなおりゃあようござんすねえ。
でも私はなおりそうにもありませんよほんとうに、国に帰るのがだからいやなんです。
下の弟達が両親になついて居るのを見ると羨しさと憎しみが一度きに湧いて来るんです。