Japanische Klassiker mit Furigana
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ちよこ(に)
千世子(二)
宮本 百合子
Lesen Sie 千世子(二) (ちよこ(に)) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.249 Zeichen · 31 Bildschirme
「京都に貴方の体はつり合わない。
むくむくしてかたい腕や、黒い手先をこすったりした。
これからざあっと一月又会わなくなると云う事等は一寸も悲しい事にも淋しい事にも思えなかった。
新らしい書み物を二冊ほど持って京子はせっついて帰った。
立つ日も聞こうとしなかったし御大事に行らっしゃいなんかとも云おうともしなかった。
ましてステーションまででも送ろうなどとは夢にさえ思わなかった。
只旅に出る事ばっかりをそわそわして嬉しがって居るのが千世子にはたまらなく気にさわった。
けれ共翌日になるとこのまんま一日も会わないのはいかにも物足りなく思われて立つ時間を聞きにやった。
いよいよ立つ日には落ちては来なかったけれど泣きそうな空模様だった。
御昼飯を仕舞うとすぐ千世子は銘仙の着物に爪皮の掛った下駄を履いてせかせかした気持で新橋へ行った。
西洋洗濯から来て初めての足袋が「ほこり」でいつとはなしに茶色っぽくなるのを気にしながら石段を上るとすぐわきに、時間表を仰向いて見て居る京子の姿を見つけた。
奇麗に結った日本髪の堅くふくれた髷が白っとぼけた様な光線につめたく光って束髪に差す様な櫛が髷の上を越して見えて居た。