Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちよがみのはる

千代紙の春

小川 未明

Lesen Sie 千代紙の春 (ちよがみのはる) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 4.985 Zeichen · 11 Bildschirme

Aozora Bunko

「さあ、まけておきますから、こいを買っていってください。」と、おじいさんは、熱心にいいました。

おばあさんは、それを聞くと、つえをつきながら、立ち止まりました。そして、橋のそばに、店を開いている、盤台の中の大きなこいに目を止めたのであります。

おばあさんは、こいを病人に食べさせるとたいそう力がつくという話を思い出しました。

「ほんとうに、いい大きなこいだな。」と、おばあさんはたまげたようにいいました。

「まけておきます。どうぞ買っていってください。」と、おじいさんは声をかけました。

「うちの小さな娘が病気だから、それに買っていってやろうと思ってな。」と、おばあさんはいいました。

「このこいをおあがりなされば、すぐに病気がなおります。」と、おじいさんは答えました。

おばあさんは、じっと大きなこいが、肥えた白い腹を出しているのをながめていましたが、

「なんだか、このこいは、元気がないな。じっとしている。」と、おばあさんは、こごんでいいました。

「どういたしまして、これが弱っているなどといったら、元気のいいのなどはありません。」と、おじいさんはいいました。

おばあさんは、それでもくびを傾けていました。