Japanische Klassiker mit Furigana
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なんぼくのとうかいどうよつやかいだん
南北の東海道四谷怪談
田中 貢太郎
Lesen Sie 南北の東海道四谷怪談 (なんぼくのとうかいどうよつやかいだん) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.555 Zeichen · 34 Bildschirme
それで与茂七も外へ出た。お袖はそこで時刻をはかって行燈の燈を消した。それと見て直助は出刃を、与茂七は刀を脱いて家の内に入って、屏風の中を目あてに刺しとおした。同時に女の悲鳴が聞こえた。二人は目的を達したと思って屏風をはねのけた。屏風の中にはお袖が血みどろになっていた。其のとたんに月が射した。二人は呆れて眼を見あわした。
「これはどうした」
「これは」
お袖はやっと顔をあげた。
「与茂七さん、どうか、ゆるしておくれ。それから、直助さんは、養父と姉の讐を討った後で、どうか、小さい時に別れた兄さんを尋ねて、此のわけを話してくだされ」
お袖には幼い時に別れた一人の兄があった。お袖は苦しそうに懐から一通の書置と、臍の緒の書きつけを出して直助に渡した。直助は其の臍の緒の書きつけをじっと見た。それには、『元宮三太夫娘袖』としてあった。直助は見て仰天した。直助は傍にあった与茂七の刀を取ったかと思うと、いきなりお袖の首を打ちおとした。与茂七は驚いた。
「何故に、そんなことを」
直助はどしりと其処へ坐るなり、其の刀を己の腹に突きたてた。
「与茂七殿、聞いてくだされ」
お袖が探していた幼い時別れた兄は、直助であった。