Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
と、額に、冷たい汗をかいて、蒼白い顔をしながら、小さい、かすれた声でいった。
「手当をしてやれ――気絶したか」
新納が、人々の蔭になっている池上の顔を見ようとした。
「はは、はははは」
人々は、冷たいもので、背中を撫でられた。池上のその笑い声は、幽鬼のような空虚で、物凄い笑いだった。
「あははは、生きていたか――池上、流石に薩摩隼人だ。よく耐えた」
新納が、池上の、灰色の顔を見て、睨みつけるように、鋭い眼をして、こういうと、次の瞬間、やさしい声になって
「池上、お前達の世の中じゃ。その心を忘れずに、しっかり、やってくれ。ただ――ただ、無謀な振舞だけはするな。世の中は広大じゃで、一家一国の争いなどに、巻き込まれるな――感心したぞ――えらいぞ」
新納の眼に、微かに、涙が白く浮いていた。池上は仰向いて、眼を閉じたまま、大の字になって、身動きもしなかった。
医者が来て、釘の突き抜けた疵口を洗って、繃帯をした。池上は、何をされても、黙って、眼を閉じて、身動きもしなかった。又、出来なかった。苦しさに、痛みに、気を失う間際までになっていた。それが急に放たれて、称められて、肉体も、精神も、ぼんやりとして、疲れきっていた。