Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
谷山には、馬がござりましょうから――」
「わしも急ぐ――」
和田は、木箱を押えて
「お先きに」
と、いうと
「箱を――」
と、玄白斎は、手を出した。
「はっ――恐れ入ります」
和田は、急いで採取箱を肩から卸して、手渡すと、一礼して走り出した。土煙が、和田と一緒に走り出した。
芝野の百姓小屋が、点々として見えてきた。和田仁十郎は、肌着をべっとりと背へくっつけ、汗を拭き拭き、小走りに
(馬――馬)
と、思いながら、馬の動きを、馬の影を求めていた。一刻も早く急ぎたかったし、暑かったし、心臓も、呼吸も、足も
(早く、馬を)
と、求めていた。土埃が、額へまで、こびりついた。
「この辺に馬がないか」
雑貨を売る店へ怒鳴って立止まった。
「馬?」
と、店先にいた汚い女が、首を振って
「谷山まで、ござらっしゃらぬと、この辺には、無いですよ」
「済まぬが、水を一杯」
仁十郎は、肩で呼吸をしながら、ようようこれだけいった。
「水なら――たんと――」
女は、薄暗い勝手から、桶をさげて来た。和田の前へ置いて、容器を取りに入った。和田は、身体を曲げると手で掬って、つづけざまに飲んだ。女が、茶碗を持って、小走りに来ると