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Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

左手には、草のはえた丘陵が起伏して、雨に鮮かな肌をしていた。戸塚の松並木は、いつまでもいつまでもつづいた。七瀬は、その松並木が余りに長いので腹が立った。そして、すっかり疲れきった。

松並木の下の、茶店で休むと、腓に何か重い物を縛りつけているようで、腰も、足も立たなくなってしまった。茶店の亭主が、江戸からと聞いて

「そりゃ、無茶だ。奥様、無茶というものでがすよ。女の脚で、おまけに、初旅というのに――そんな無茶な――こちらへござって、足をよく揉んで、暫く、ちゃんと坐ってござれ」

座敷を開けてくれた。三人は、其処へ入った。そして、又蔵が、七瀬の足を揉み、綱手が自分の腓を揉んでいる時、往来から、道中合羽を着た男が、覗き込んだ。

「やっと、見つかった」

と、七瀬へ、笑いかけて、御叩頭した。

又蔵が、警戒するように、二人の前へ立って、男を睨んだ。七瀬も、綱手も、坐り直した。

「無茶なことをなさるじゃあござんせんか――昨夜は、夜っぴてでござんしょう。あの雨の中、もし、風邪でもひいたら、一体、どうなさるんで。旅ってものは、腹と一緒で、八分目でござんすよ。昨夜よっぴて歩いたって、今朝、早立したあっしが、馬で急ぎゃあ、ここで追っつけるんだ。