Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

「そうか――覚悟しておるのか」

「お身達、虎の威を借る狐とはちがう」

一木の顔色が動いた。

「奈良崎、君公の御裁許も仰がず、濫りに私党を組んで、無届出奔に及ぶ段、不届千万、上意によって討取る」

「そうか」

奈良崎が、足に敷いていた草履を蹴飛ばして、身構えすると同時に、草が動き、物音がして、人が、槍が、草叢の中から現れた。

「奈良崎、その外の浪人者も、手向い致すか」

七人は、槍と、刀とで、五人を取巻いた。

「たわけ――来い」

「芋侍なら不足はない」

五人は、刀を抜いて、背を合せた。

「そうか――是非も無い」

一木が、こういうと同時に、六人の侍は、じりじりと迫って来た。五人の駕屋は、立木の中へ入って、樹を掴みながら、ぼんやりと、だが、腋の下に、掌に、汗をかいて、眺めていた。もう、走ることも、動くことも、出来なくなっていた。

十二人は、無言で、お互の刀尖と、穂先とを近づけて行った。誰も皆、蒼白な顔をして、眼が、異常に光っていた。

一木は、右手に刀を提げて奈良崎の横へ廻って来た。奈良崎は、もう、額に微かに汗を滲ませていた。追手の内の二人は、肩で呼吸をしていた。

槍は中段に、刀は平正眼に、誰も皆同じ構えであった。