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Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

「待て、卑怯なっ、待てっ」

一人は、刀を押えて、槍を持って走っていたが、思うように走れないので、こう叫ぶと、槍を差上げ

「うぬっ」

と、叫んで、投げつげた。槍は、獲物に飛びかかって行く蛇のように、穂先を光らせて、飛んで行った。そして、一人の腰に当ったが、石の上へ落ちて転がってしまった。

「馬鹿っ」

追手の一人が、振向いて、槍を投げた男に

「股を目掛けて、何故投げん」

と、睨みつけた。その途端、一人の追手が、浪人の一人に追いついて、片手突きに、その背中を突いたが、間髪の差――素早く、振向いたその男が、片手薙に、身体も、刀も、廻転するくらいに払ったのが、見事、胴に入った。討手は、背後から突かれたように、手を延したまま、どどっと、前へ倒れてしまった。

「やったな」

と、一人が叫んだ。

七瀬は、綱手をせき立てて、すぐ、益満の後を追った。小田原の立場で

「箱根まで――」

と、いうと、人足達は

「秋の陽は、短いでのう」

と、渋っていたが、それでも、七瀬の渡した包紙を握ると

「やっつけるか」

と、いって、駕を出した。荒涼とした、水のない、粗岩の河原を、左に湯本へ行くと、駕屋は、草鞋を新しくして、鉢巻をしめ直した。