Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
益満が振向くと、右手に刀を提げた三人の浪人が、走って来た。益満が、駕の中から、右手を挙げた。浪人が、近づいて
「奈良崎氏と、羽鳥とが、やられた」
「刀を拭いて――関所が、近い」
三人は、刀を拭いて納めた。
「ここへ来る道で、一人は膝を切られ、二人は無疵で――」
「逢うた。お互に、顔を知らぬし、怪しいとは存じたが、睨み合ったままで、擦れちがった」
「女二人に、一人は四十近い、一人は十八九の」
「それとは、死体の転がっていた辺で――」
益満は、頷いて
「何うじゃ、真剣の味は?」
「駕屋、咽喉が乾いたが、その水を」
一人が、駕の後方に、下げてある竹筒の水を指した。
「さあ、お飲みなすって。大層、血が――」
「少しかすられた」
三人は、そういわれて、自分達の疵の痛みを感じてきた。交る交る竹筒の水を飲んで、着物を直しながら
「凄かったのう、あの示現流の、奈良崎を斬った男の腕は」
「一木か、あれは出来る」
と、益満は答えて
「駕屋、もう六つ近いであろう」
「へえ、空の色から申しますと、もうすぐでござります」
駕屋は顔色を変えていた。
「関所の時刻に間に合うか」
駕は、急坂の石敷道へかかっていた。