Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
それだけいって、二人は黙ってしまった。
「妾は――」
綱手は、やっとしてから
「何事も、諦めております」
七瀬は、道中での、いろいろの危険、斬られた人、斬った人のことを、想い出すと、調所のいう通り、町人へ嫁入させ、一生安楽に、せめて、綱手だけでも送らせてやったら、と思った。
(そして、このことは、自分が探るとして――国許へ戻ったとて、御家のために、さして働ける身でもなし――)
と、思った時、一人の女中が
「百城様が、それ」
と、朋輩にいって、声を立てて笑った。七瀬が、女中の見ている方を見ると、さっき、ちらっとだけ見た、若い、美しい侍が、廊下を足早に通りすぎていた。女中達が、甲高い笑い声を立てて、肩を突っついたり、膝を打ったりしていた。
(妾等二人に較べて、この人達は、楽しそうに――)
と、七瀬が、娘を見ると、綱手は、身動きもせずに坐っているらしかった。
(深雪は、何うしたことやら? 夫も、小太郎もどうなることか? 広い世界に、たのむのは、綱手ばかり――)
と、思いかけると、かたい決心が、だんだん悲しく、崩れて来るようであった。
(益満と、もっと早く、許婚にでもしておいたら――)