Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
幸、七瀬が入り込んだとあれば、また、いかなる手段にて、敵を挫く策略が生れて参るかも知れぬ。わしの死はお前が生きておってこそ光がある。お前が生きておれば、犬死にはならぬ。一旦の怨み、怒りで、必ず犬死してはならんぞ。眼前、父が殺されても、牧を刺す見込みが無いなら、斬破って逃げい。お前は若い。お前の脚ならば逃げられよう。そして、再挙して、わしの志を継ぐのだ。よいか。この教訓を忘れては、父の子でないぞ」
「はい」
「すぐに立とう、勘定を申しつけい」
「母上に、一度お逢いなされましては」
「たわけたことを申すな」
八郎太は、床の間に立ててあった太刀を取って、目釘を調べ、中身を見て
「生れて初めて人を斬るか、斬られるか――こうして、じっと見ていると、この刃の表に、地獄の図が現れて来るように思える」
刀を膝の上に立てて、刃の平をいつまでも眺めていた。
「お召しどすか」
「勘定をして、麻草鞋二足、弁当を二食分、水を竹筒に、少し沢山詰めておいてくれぬか」
「今時分から、何ちらへお出でどす」
「叡山へ参詣する。勘定を早く」
小太郎は、室の隅で、鎖鉢巻、鎖帷子、真綿入の下着を、二人分積み重ねて、風呂敷に包んでいた。