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Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

腕が、肩が、何かで撲られているように、微かに感じた。そして、暗黒な、地の底を、急に墜落して行くようにも感じるし、宙ぶらりんに、止まっているようにも感じた。何か、耳元で叫んだようであったが、どんな意味か、もう判らなかった。ただ、小太郎に

(犬死すな)

と、思った。

小太郎は、闘志と、怨恨とに狂った猛獣であった。何を、自分で叫んでいるのか、何う、手を――脚を動かしているのか、わからなかった。

(皆殺しだ)

と、いう憤りが、頭いっぱいに、熱風のように吹きまくっていた。父の倒れるのを、ちらっと見ただけであったが――食いしばった紫色の脣と、血を噴く歯、怨みに剥き出した真赤な眼球、肉が縮んで巻上った傷口、そこから覗いている灰白色の骨、血糊に固まった着物、頭も、顔も、見分けのつかぬくらいに流れている血――そんなものが、頭の中で、ちらちらした。

対手の浪人の恐怖した眼、当もなく突き出してくる刀、翻る袖、跳ねる脚、右から、左から閃く刀、絶叫――倒れている浪人――そんなものが、眼の前を、陰の如く、光の如く、ちらちらした。

血で、指が、柄から辷りかけた。膝頭が曲らないように疲れて来た。