Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
岡田さん、いろいろと、いや、何うも、御世話に。御礼は、何れ後程。では、皆様、さようなら――」
南玉は、左右へ、御叩頭をして出て行った。小藤次は苦り切っていた。
南玉が、お由羅邸からの引出物の風呂敷包を持って、黄昏時の露路を入ると、自分の家の門口に、一人の男が、蹲んでいた。
「誰方様でげす?」
「師匠」
男が、立上った。
「庄吉か。何うしたい」
「まあ、入ってから話そう」
南玉は、狭い、長屋の横から、勝手口へ廻って、両隣りへ挨拶した。そして、戸を開けて、庄吉を入れて、庭の雨戸を繰り開けていると
「のう、師匠。深雪さん、御奉公に上ったって云うじゃあねえか」
「うん」
「お前、あの娘を、小藤次の餌にするつもりかい?」
南玉は、答えないで、戸を開けてしまった。
「未だ、灯を入れるにゃ早いし、こうして開けておくと、油が二文がたちがうて」
懐中から油紙の煙草入を出して、庄吉の前へ坐った。
「近頃、富士春との噂が、ちらちら、ちらついてるぜ。気をつけねえと、弟子がへっちゃあ――こういうと何んだが、お前の手も、癒ったというものの、未だ、すっかり元にゃあ、なりきるめえし――困りゃしないか?」