Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
(追手の奴等?)
そう感じた時、人声がした。小太郎は、立とうとした。腰も、脚も動かないし、立っても、逃げも、働けもしなかった。
(何うせ、死ぬのだ。捕えられては、隼人の名折れになる)
小太郎は、顫える手で、脇差を握った。指も、掌も、固く凝っていた。提灯と、人声とが、だんだん近くなって来た。それは、足早く来るらしく、ぐんぐん近づいて来た。
(見事に斬らぬと――)
と、思うと、何も考えることが無くなって、ただ腹を、見事に切ることだけが、望みのように感じた。
小太郎は、脇差を抜いて、袴を切り取った。そして、刃へ巻きつけて、左手で、着物を押しあけた。しっかりと、帯を、袴を締めて来たので、弱っている力では、十分に披かなかった。
(早くしないと――)
小太郎は、両手で、着物を拡げてから、坐り直そうとしたが、うまく坐れなかった。
(何うにでも切ればよい)
小太郎は、片足を曲げて坐ったように――片足を、横へ投げ出して、左手を草の中へつきながら、脇差を腹へ当てた。そして、間近に高い声が聞えると同時に、突き込んだ。
「何か――」
と、いう声が聞えた。力が足りなかった。小太郎は、脇差の柄頭を地へ押しつけて、自分の身体を、のしかからせようとした。