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Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

わしが、こうして、わしの父を覘っている小太郎を討ちに行く、と知ったなら、勿論許しはしなかったであろう)

月丸は、夜露に濡れながら、高山の冷たい夜気の中を、冷たいとも感じずに、歩いて行った。

(それでは、一生、この本心を打明けずにいるか? そんなことはできることでない。いつかは判ることだ。いつか判る、その時まで、自然に任せて待つか? それとも、いい機に打明けるか? それとも、小太郎を斬りすてて、父の身体を安らかにし、敵党の模様をさぐった上で、別れるか?――いいや、別れたくはない――では、何うしたならよいか)

足で、手で、さぐりつつ、木立の間を、庵室へ近づいた。そして、星あかりに、庵室が黒く見えると共に、静かに、裾を端折って、帯に挟み

(女のことなど、何うでもよい。父を覘う奴を――)

と、思った。そして、戸締りもしていない廊下へ、手をつき、膝をあげて、じっと、耳を澄ますと同時に、心も、身体も、小太郎と、義観とに対する注意と、用意とで、いっぱいになってしまった。

部屋の中の物音は少しもしなかった。月丸は、脇差を静かに抜いて、右手に持ちながら、入口から、小太郎の寝ている奥の方へ、這うように、廊下を伝った。