Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
「小父様、それは、本当でござりますか」
「小太郎も探したし、それに、深雪――八郎太殿は、亡くなられたが、存じておろうのう」
「父様が? はい」
「不覚の涙を流すでないぞ。赤の他人の庄吉が、腕を斬られてまでも尽しておるのじゃ。忠義のために殺された父御へ、涙を流すなど、草葉の蔭で嘆かれるぞ。喜べ。一家、一族、悉く殺されても、意地と、忠義を貫くのが、武士の慣わしじゃ」
深雪は、俯向いて、そっと、目へ袖を当てた。
「供養にならぬ涙を流そうより、大阪表へ参って、又国許へ参って、手頃の仕事で、父の志をつげ。よいか。わしは、暫く、江戸の同志と謀ることもあり、又天下のために策謀すべきことも起っておる。齢端行かずとも、もう一人立ちはできよう。もし、進退谷まらば、死ね。いつまでも、小娘ではない。仙波八郎太の子として、これまでの教訓、よく噛みしめて、物に当れ。よいか。南玉と、庄吉は、付人じゃ。然し、頼りにはするな」
「頼りにするなは、ひどうげすな」
益満は、口を結んで、俯向いている深雪を、じっと、見下ろしていた。
(いつか見た――今まで、まざまざと残っている、あの父の血塗れの夢は、正夢であった)