Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

と、思った。途端に

「ようよう」

と、南玉が、叫んで、手をたたいた。

「何っ――もう一度、吠えてみろ」

小藤次が、睨んだので、南玉は

「いえ――」

周章てて、益満の方へ、走り寄った。益満は、もう群集の外へ出て、群集に、見送られながら、小太郎と、足早に歩きかけていた。

「あら、何奴で」

と、職人が、小藤次に聞いた。

「あれが――益満って野郎だ。芋侍の中でも、名代のあばれ者で、二十人力って――」

「若い方も、強そうじゃ、ござんせんか」

「あいつか」

二人が、湯屋の前を通り過ぎようとすると、暖簾の中から、鮮かな女が、出て来て

「おや、休さん」

「富士春か」

「寄らんせんか」

富士春は、鬢を上げて、襟白粉だけであった。小太郎は、ちらっと見たまま、先へ歩いて行った。益満は、小太郎を追いながら

「急用があって」

と、答えた。

「晩方に、是非――」

と、富士春が、低く叫んで、流し目に益満を見た。

小太郎は、自分の歩いていることも、益満のいることも、南玉が、ついて来ることも、忘れていた。

(父は、きっと、家中への手前として、自分の面目として、寛之助様が亡くなったとしたなら、母を離別するだろう。