Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
綱手は、深雪の、健気な仕業を称めるよりも、益満に、操られて、危い仕事をした深雪が、可哀そうになってきた。
(深雪に逢いたい。深雪に逢うて、深雪を浜村へとつがせて、一生を、安楽に、送らしてやったら)
そう思うと、死んでゆく姉の自分として、ただ一つ、可愛い妹に残しておける、いい形見のように思った。
(そうだ、遺書を書いて、妹へ――)
綱手は、つづらから、身体を離した。そして、立とうとしたが
(でも、死ぬに限った身ではなし、却って、妹をびっくりさせては――)
綱手は、月丸と二人、手をとって、落ちて行く楽しさを、空想し、二人きりで暮している嬉しさを描いてみた。
(行く所まで――こうなった上は、行く所まで――月丸様の、仰しゃったように、義理も、人情も、親、兄弟もすてて、二人だけになって――)
綱手は、そう思うと、二人きりになれるなら、そんなものを、皆、うちすてても、楽しく、暮して行けると、感じた。
人の足音がしたので、立上ると、廊下から、一人の小者が、顔を出した。そして、四辺を窺って
「御手紙を、百城様から――」
綱手は
「あい」
と、答えるよりも、走り寄った方が、早かった。