Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
益満は、富士春を、振返って
「ざんば岬を、弾いてくれ」
「ここで?」
富士春が、弾き出すと
ざんば岬を、あとに見て
袖をつらねて諸人の
泣いて別るる、旅衣
と、益満が、唄い出した。
「おいっ、誰かいねえのかい。裏が、やかましいぜ」
楽屋の中から、誰かが、怒鳴った。
「どじめっ」
さっきの男が現れて来て
「ちったあ向うを見ろ。手前も、芸人じゃあねえか。軍談席の木戸で、唄を唄う奴があるかい」
と、いいつつ、益満の前へ立った。
「さて、いよいよ、これから、湊川の合戦というところ、まず、今晩はこれぎり」
南玉の、声がして、すぐ、ちらっと、姿が掠めて見えた。そして、楽屋の横から出て来て、裏木戸の方を見ると
「いやあ、判りましたかい」
と、叫んで、小走りに、出て来た。
「訳があって引返してきやしたがね、何処を探しても――」
と、いいつつ、二人の姿を見て
「何うなすったんで?」
と、小声で聞いた。
「出よう」
「ええ――定。何を、ぼんやりしてやがるんだ。履物を出してくれ――寄席へ出て、びらを撒きゃ、何っかから現れて来るだろうと、撒きやしたぜ、三千六百枚」
「※(「言+墟のつくり」、第4水準2-88-74)を吐け、出よう」