Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
「このままで――よろしゅうござりましょうか」
と、自分の着物を見ると
「命にかかわることじゃ。走って行け。万作も急げっ」
口早にいって、料紙へ、何か認めながら、三人が
「では、行って参ります」
手をつくと
「それから――出口の、新納殿のところへ、飛脚を出したいから、一人、急いで、寄越すようにと、問屋場へ、立寄って、註文して参れ、急ぐぞ」
三人は、命にかかわる、との言葉と、常の様子でない、矢五太夫の態度とに、何か、大事が起ったとは察しられたが、それが、何か判らぬので、不安を感じながら、廊下へ出た。七瀬が、小声で、口早に
「お由羅派の――何か――」
と、聞くと、矢五太夫は、筆をとめて
「正義派が、総崩れになりそうじゃ」
と、七瀬を、睨みつけるようにして、いって、すぐ、筆を走らせた。
「はっ」
七瀬は、そう、溜息とも、言葉とも、つかないものを、吐き出して、すぐ、二人の後方から、廊下を小走りに、走って行った。
(夫の斬死も、無駄になったし――その上に、大殿様の、お指図らしいが――)
と、思うと、頭の中も、胸の中も、蒼黒い毒煙が、這い廻っているように、苦しくなってきた。