Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
「ああ」
五郎右衛門は、笑顔を子供に向けて、同じように、答えた。子供は、母の手の中から抜け出そうとして、もがきながら、母と一緒に出て行った。五郎右衛門は、暫く、それを見送ってから
「わしは、命は、かねてより、無きものとしておるが、今度の処置は、余りにも、無残すぎる。あれを遠島に処すなど、鬼畜の業ではないか」
「あれとは、奥をか」
「いいや、左太郎を――」
「子供を――」
出雲守は、そう云ったまま、黙ってしまった。
「今度の処置は、これのみではなく、次々に同志の上へ、加わって来るであろう。それを防ぐには――大殿の、君側の奸より出る指図ゆえ、防ぎようはないが、大殿を隠居おさせ申して、斉彬公を世に出すこと、これが第一。それから、福岡の黒田美濃守に、お縋り申すことが第二――」
五郎右衛門は、今宵限りの命の人とも見えぬ落ちつきを以て、静かに語り出した。
「それから――御老中は、斉彬殿贔屓であるし、閣議に於ても、最早、家督のことは、時日だけのことと決定してもおるし、御老中に、お縋り致すのも、有力な方法であろう。それに、悪逆の徒の、彼の牧仲太郎は、是非とも、討取らねばならぬ。