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Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

「最期も見届けないが、許してくれ」

「いいや、急ぐがよい」

五郎右衛門は、出雲を見送るために立上った。

「長い間、交際ったのう。三十幾年――」

「はははは。もう、死んでも、未練のない齢じゃ。腹に皺の寄らぬうちに死ぬのも、武士らしゅうてよい」

二人は、話しながら、玄関へ出た。出雲守が、供が草履を持って来るのを、待っていると

「辞世じゃ

思ふことまだ及ばぬに消ゆるとも

心ばかりは今朝の白雪

出雲、桜時じゃに、雪がちらちらして参った。天にも異変があると見えるのう」

出雲は、空を見上げた。いつの間にか真暗な夜空から、ちらちら、春の雪が、落ちて来ていた。

蒲団を、二つに折って、白い布に包んだのが、部屋の真中に置いてあった。そして、それを、半ば屏風で囲い、その前には、経机があった。その上には、線香の立った香炉と短冊と、硯函とが、置いてあった。五郎右衛門は、それを見廻してから、茶の間の襖を開けた。

そこの正面にある仏壇には、灯がまたたいていて、その前に、古くからいる召使が、泣き倒れていた。五郎右衛門は、ちらっと、それを見たまま、出ようとすると、左太郎を晴着に着替えさせた妻が、眼を赤くして、入って来た。