Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
と、感じた。そして、たたっと退った。それを追い込むように、侍が
「何者だ」
と、手を延して、笠を掴もうとした。障子に鈍い灯がさして、提灯と、もう一人の侍とが出て来た。そして
「判ったか?」
「灯を貸してくれ――」
と、振向いてから、出雲守に
「何れへ参る」
出雲守は、笠へ手をかけて、顔を見ようとするのを、一足退って、避けると同時に、足構えをした。そして、侍が、提灯の方へ、手を出した隙を
「やっ」
右脚で、払った大外刈。全力的に突いた両手の力。
「くそっ」
よろめきながら、手を延して、出雲守の胸を掴もうとする相手の体の崩れに、どっと、体当りをくれると、己も、よろめきながら――だが、提灯を持った侍が
「待てっ」
と、いう叫びを、後に、走り出していた。
「待たぬかっ」
足音が、すぐ迫っていた。出雲守は、脇差の鯉口を切った。そして、迫って来る足音で、その距離を計りながら
(ここを、無事に、逃げられますよう)
と、心の中で、何かに、祈った。そして、時々、ちらっと、振返りながら、幾度か、己の呼吸と、距離とを計ってから
(ここだ)
さっと、左膝を雪の中へ曲げるが早いか、全身の力を右手にこめて、ぴゅーっと、振った片手薙――