Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
(一家中、不幸なら、せめて、この深雪だけでも、幸にしてやりたいのを――死ぬより厭がっている男に、肌を許せ、というわしは――いわなくてはならん、わしは――一体――それが、兄の道か? 妹をまで生犠にして――)
と、思うと、自分も、益満も、牧も、堪らぬ程、憎くなってきた。
「明日でもよい、今夜、一夜は、ここに臥て――」
「はい」
小声で、そう答えると共に、深雪は、又、涙を浮べてきた。小太郎は、俯向いて、眼を閉じた。南玉は、顔中を、撫で廻していた。
「おう、流しっ、上ってくれ」
両国下手の、川沿い、黒い高塀の料理屋の二階からであった。
「有難う」
富士春は、よく、透る声で、返事をした。そして、打ち水してある石の上を、植込みの竹の横を、くぐりから、内玄関へ廻った。
「今晩は、有難う存じます。姐さん、今晩は、有難う存じます」
富士春は、人々へ、お叩頭した。
「お座敷は、二階ですよ」
「はい、何ちらから?」
「突き当って、右ですよ」
玄関の女は、突けんどんにいった。外の女は、二人の姿を、じっと、眺めたり、忙がしそうに、広い廊下を、行き戻りしていた。二人は、編笠をかぶったまま、廊下へ出た。