Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
門の外へ出るまで
(何か、不意に事が起りはしないだろうか)
と、忍び込む前とちがった不安が、二人の襟を、何かが今にも引捕えはしないだろうかと、追っかけられているような気がした。門を出て、植村出羽の邸角まで来ると
「やれやれ」
益満が、笑い声でいった。幸橋御門を出ると、もう、往来にうろついているのは、野犬と、夜泣きうどんと、火の用心とだけであった。それから、灯が街へさしているのは、安女買いに行った戻り客を待っている燗酒屋だけであった。
小太郎は、袖に包んだ箱の中を想像しながら
(これで両親も、別れなくて済むし、自分の手柄は、父のためにも、自分のためにも――それよりも、斉彬公が、どんなに喜ばれるであろう)
と、頭の中も、胸の中も、身体中が、明るくなって来た。
「小太、先へ戻って、早く喜ばすがよい。わしは、さっきのところへ寄って、刀を取って行くから――」
小太郎が、答えない前に、益満は、駈け出していた。
「なるべく早く――」
その後姿へ、小太郎が叫んだ。
「猫、鳶に、河童の屁、というやつだ」
益満は、大きな声で、独り言をいいながら、富士春の表へ立つと、もう提灯は消えていた。