Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

「俺、とにかく、牧の鼻を、齧るんだ」

庄吉は、右肩を、聳かしていた。

「旦那へ」

と、駕屋が、瀬田の橋の真中――小さい森が、橋と、橋とをつないで、湖の中へ突き出ているところで、肩をかえながら

「旦那あ、御武家じゃございませんけ」

と、聞いた。

「うむ、町武家と申してな、江戸の流行物じゃ」

「へえ、町武家?」

「黒船以来、町人の武家ができた」

「えらい騒ぎだそうでございますな、黒船って奴で」

「京は、何うじゃ」

「京は旦那様、うっかり、夜も歩けやしません」

「辻斬りか」

「いいえ、辻斬りは、出ませんが、生首に躓くんで」

先棒が、じっと、益満を見ていたが

「旦那あ、何んだな、俺の睨んだところでは、関東の隠密だな」

と、云って、首を傾けて

「そうでござんしょう」

「そう見えるか」

「そりゃ、人を見て、飯を食ってるんでござんすから、それくらいのことは、こう睨むと、外れませんよ」

「俺も、そうらしいと思った。旦那、用心なさいまし、京は、そら、志士って奴が、のさばり返っていて、お上の者と見ると、ばさりと、やるそうでしてな。この間も、そのために、彦根のお侍が、大分、お入りになりましたが、何うも、江戸も、京も、物騒になりましたな」