Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
七瀬は、それを見ると、胸いっぱいになってきた。小太郎は、八郎太が、一言も、自分の手柄を称めぬので、物足りなかった。
「父上、如何で、ござりましょう」
八郎太は、小太郎の眼を、じっと見つめて
「他言する事ならぬぞ」
七瀬が
「まあ、よかった。よく、見つかったねえ、床下といっても、広いのに――」
「お兄様――蜘蛛の巣が――」
深雪が、小太郎の頭から糸をつまみ上げた。八郎太は、人形を旧のように包んで、膝の上へ置いて、何か考えていた。
「これで、母も安心できました。ほんとに、大手柄――」
そういう七瀬の顔を、睨みつけて
「支度」
「お出まし? この夜中に」
七瀬が、恐る恐る聞くと
「名越殿へ参る」
七瀬が立上った。綱手も、深雪も、折角の小太郎の手柄を、一言も称めもしない父へ不満であったが、小太郎は、父の厳格な気質から見て、口へ出しては称めないが、肚の中では、よく判っているのだと思った。だが、何んだか物足りなかった。
七瀬は、次の間の箪笥を、ことこと音させていたが
「お支度が出来まして、ござります」
八郎太は、箱を置いて
「元のように入れておけ」
と、小太郎へやさしくいって立上った。