Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

痛まず、悩まず、悲しまず、変ぜず、驚かず、これ、剣客の心じゃ。それに、何んぞや、父の墓参? わしへの礼? 左様の世上凡俗の習慣を、訣別の大事と心得ているようで、生死を越えての覚悟がついておると思うか? 死の覚悟とは、心を極め、天命を知り、一切有為世界の諸欲を棄て、天地微塵となるとも、聊かも、変動しない、この心が、剣刃上の悟りではないか――剣刃上を行き、氷稜上を走る、階梯を渉らず、懸崖に手を撒す、この危い境地をくぐって、小太郎、この四明の上に於て、まさに、剣刃上を行き、懸崖を走りながら、未だ、世上煩悩を棄てきれぬか」

小太郎は、手をついて、だんだん頭を下げて行った。

死ぬより外にないから、死のうとする、絶望の死であって、明るい、希望をもった死ではなかった。そして、死を覚悟しながら、深雪のことに、生計のことに、心を煩わしていた。それは、決して、死を悟っているものではなく、死に、透徹したものではなかった。ただ死を恐れない――というよりも、盲目的に、死のうとするだけで、士として、剣客として、決して、生死の覚悟ができている、と云えないものであった。小太郎は、絶望的にはなっていたが