Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
と、思うと
「お嬢さん、一つ、急ぎましょうね」
と、いった。
茶店を出ると、庄吉は
「お嬢さん」
そう声をかけて、じっと、深雪の横顔を、眺めながら
「あっしゃ、覚悟しておりますよ」
「妾も、しております」
「腕は、片方しかないが、なあに、人間一心凝めて――矢の立つためし有りってんだ。何うせ棄てた命だ。深雪さん、あんたの前で、綺麗、さっぱり、捨てて御覧に入れますからね。安心していておくんなさい」
「月丸は、何ういう男かしら」
「いい男――ちえっ、聞いただけで、げえっと来らあ。男がいいの、色が白いのって、男の値打ちあ、ここでげしょう」
と、胸をさした。
深雪は、頷いた。
「こういや、綱手さんの悪口になるが――魔がさしたんでげしょうな」
「兄に聞くと、なかなかの腕前ゆえ、お前と、二人ぐらいでは――」
「だから、だからよ。人間一心、虎々って、そら、虎を見て、何んとかしたって話がありまさあね。あいつだ」
「虎と見て、石に矢の立つ?」
「そうそう、南玉め、虎々々と、教えやがって――ところで、若旦那あ、未だ、京へお入りになりませんが、矢張り、この辺で、虎々じゃあねえんでしょうか」
「さあ、もしかしたなら――でも、庄吉、決して、兄を頼みにしては、なりませぬぞえ、何処までも、二人で――」