Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
よいか、仮令、無為無能としても、父上のお選びになった重臣を、かかる無証拠の下に、処分が出来るか? 出来ぬか? わしが、当主となって、直ぐに、彼等を処分したとして、もし、彼等が父上に、何故に処分されるかと、訴え出た時、わしから、父上に、何ういう証拠を以て、申開きをする? ましてや、父上は既に、彼等に悪事はないと、見定められて、近藤以下を処分されているのに、わしが、当主になって、彼等を処分しては、取りも直さず、父上に、謀叛するようなものじゃ」
斉彬は、そういっているうちに、幾度か、唾を飲んだ。そして、ここまで云うと、鈴を鳴らして
「湯をもて」
と、云った。吉之助が、顔を上げると、斉彬は、眼を閉じて、額を押えていた。吉之助は、久し振りに見る斉彬の顔に、暗い淋しい、力無い影のひそんでいるのを感じた。眉の下に、眼の周囲に、頬に――それらが滲み出していた。吉之助は
(お身体が悪い――)
と、感じると同時に、何かしら、斉彬に、危機が、迫っているように思った。いつ拝謁しても、書物を御覧になっているか、書物か、器物の調査か、寸暇も、手を、頭を、眼を休めない斉彬であったし――こうした、眼を閉じた斉彬、頬に、眉に、疲れを見せた斉彬は、考えられぬものであった。