Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
と、云った。一人が、立上って
「来てはならん」
と、手を、左右に振って、叫んだ。だが、その人影に、聞えぬらしく、三人の方へ、足早に、近づいて来た。
「京からの、使ではないか」
「さあ」
「おーい、こちらに参ってはいかん、来てはならん」
二人で、手を振った。侍は、立止まった。そして、笠へ手をかけて、じっと下を眺めた。
「聞えた」
「あちらへ参られい、あちらへ」
一人が、口へ手を当てて叫んで、右手の方を指さした。侍は、佇んで、牧の方を、じっと、眺めていたが、一足踏み出すと、その歩んで行く方角が、牧の方へ向った。
「倉田っ」
と、一人が叫んで、刀を押えて、走り出した。山内が
「使かあーっ」
と、怒鳴った。一人の侍と、倉田とが、走り上って来るのを見て、侍は、編笠を取った。白い鉢巻が、はっきりと現れていた。手早く、襷をかけた。山内が
「おおっ」
と、叫ぶと、さっと、顔を赤くした。そして
「油断すな。おうーい、小太郎だ。油断すなっ」
と、叫んで、襷をかけながら、走り出した。
二人の警固の人々は、山内が
「油断すな」
と、叫んだから、相当の腕の男だ、とは思った。然し
「小太郎だ」
と、叫んだ意味は、わからなかった。