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Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

それから、吉之助の後方に、横に、つつましい足音と共に、軽輩が集まって来た。

「吉之助、一蔵、一同、お暇乞い申し上げい」

顔も上げ得ないで、庭に泣き伏している人々の頭の上へ、近々と、廊下から、声がかかった。誰も、答えることが出来なかった。僅かに顔を上げた。斉彬が、開くのも、憂い眼を開けたらしく、最後の力を集めて、己の仕事を継ぐべき人々を見ようとするらしく、微かに、斉彬の顔に、黒く動くものがあった。吉之助は、それを見ると

「うっ」

と、むせるように叫んで、手を顫わせ、肩を顫わせて、突っ伏してしまった。一蔵は、涙の中から、じっと、眼を据えて、斉彬の表情の、寸毫の動きでも、見逃すまいとしていた。

「一同、心を一つにして、兄の志を、成し遂げてくれい」

それは、久光の、曇った声であった。吉之助は

(もう、斉彬公は、物もいえぬようにおなりなされた)

と、思った。最後のお顔を、拝して、と涙を拭いて、顔を上げた。黄昏近くなってきた、暗い部屋へ、小姓達は、廊下伝いに、つつましく、燈火を持って来た。庭には、篝火の支度をしていた。

部屋が明るくなると共に、斉彬は、またたきをした。