Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

「斉彬公がお亡くなりになったわい」

それは、いつもの益満の声でない、弱々しいものであった。だが、小太郎は、その言葉を、半分聞いた時に、全身を、冷たく襲って来る絶望感があった。

(これか、皆の、沈んでいるのは?)

小太郎は、じっと、畳を見つめたまま、眼も動かさなかった。三人が、小太郎の様子を見に、廊下の端へ出て来ている姿が、眼の隅に見えたが、小太郎は、自分も、生きているということも、世の中も、この座の人々も、感じないくらいになってしまった。

(わしの仕事は、あの哀れな牧を討つことと、それを討って、斉彬公へ尽すつもりであったのに――)

「哲丸様も、亡くなった」

小太郎は、益満のその言葉に、返事をしようにも、声が出なかったし、したくもなかった。

(わしは、今まで、何をして来た?)

牧は、斉彬と、その家を呪咀したのみでなく、自分の一家をも、呪咀し、その最後にも、殺されながら、小太郎に、打ち勝ったように思われた。一人が

「小太郎、遅かったわい」

と、云った。小太郎は、全身を突き飛ばされ、心を叩きつけられたように感じた。斉彬と、哲丸とを亡くしたのは、自分のせいのように感じた。