Japanische Klassiker mit Furigana
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なんばんひわもりうこんまる
南蛮秘話森右近丸
国枝 史郎
Lesen Sie 南蛮秘話森右近丸 (なんばんひわもりうこんまる) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.869 Zeichen · 112 Bildschirme
舟の船首へ突っ立った。
「あっ」と仰天する水夫や従者、それを制した右近丸は、スルスルと近寄って眺めたが、
「ほほうこいつは矢文だわい」
左様、それは矢文であった。矢羽根から二三寸下ったところに、畳んだ紙が巻き付けてある。
矢を引き抜いた右近丸はクルクルと紙を解きほぐすと、スルスルと開いて見た。
「南蛮寺の謎手に入れんとする者信長公一人にては候まじ、我等といえども虎視耽々、尚その他にも数多く候」
これが記された文字であった。
「成程」と呟いたが右近丸は些少驚いた様子であった。「俺の用向きを知っていると見える。俺を嚇そうとしているらしい。これは用心をしなければならない。何者がどこから射たのだろう」四辺を見廻したが解らなかった。たくさん舟が通っている。帆船もあれば漁船もある。商船も通っている。だがどの舟から射たものやら、少しも見当が付かなかった。
「さあ、舟遣れ、水夫ども漕げ」
そこで小舟は駛り出した。
その同じ日の夕方のこと――ここは京都四条坊門、南蛮寺が巨然と聳えている。その周囲は四町四方、石垣の中に作られたは、紅毛ぶりの七堂伽藍。金銀を惜まぬ立派なものだ。