Japanische Klassiker mit Furigana
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なんばんひわもりうこんまる
南蛮秘話森右近丸
国枝 史郎
Lesen Sie 南蛮秘話森右近丸 (なんばんひわもりうこんまる) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.869 Zeichen · 112 Bildschirme
夕の鐘が鳴っている。讃美歌の合唱が聞こえている。
「アベ マリア! ……アベ マリア!」
美しい神々しい清浄な声!
ボーン! 梵鐘! 神秘的の音!
それらが虚空へ消えて行く。
この南蛮寺の傍らに、こんもり庭木にとりかこまれた、一軒の荒れた屋敷があった。
この頃京都で評判の高い、多門兵衛という弁才坊(今日のいわゆる幇間)と、十八になる娘の民弥、二人の住んでいる屋敷である。
今日も二人は縁に腰かけ、さも仲よく話している。
だが本当に多門兵衛という老人、そんな卑しい弁才坊だろうか?
どうもそうとは思われない。深い智識を貯えたような、聡明で深味のあるその眼付、高貴の血統を暗示するような真直ぐで、正しい高い鼻、錠を下ろしたような緊張まった口、その豊かな垂頬から云っても、卑しい身分とは思われない。民弥の方もそうである。その大量な艶のよい髪、二重瞳の切長の眼、彫刻に見るような端麗な鼻梁、大きくもなければ小さくもない、充分調和のよい受口めいた口、結んでいても開いていても、無邪気な微笑が漂よっている。身長も高く肉附もよく、高尚な健康美に充たされている。行儀作法を備えているとともに、武術の心得もあるらしく、その「動き」