Japanische Klassiker mit Furigana
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らんとうばのてんにょ
卵塔場の天女
泉 鏡花
Lesen Sie 卵塔場の天女 (らんとうばのてんにょ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.251 Zeichen · 94 Bildschirme
……間が離れて向う斜めに、しかも反っていたのを、ちょうど私の傍に居合わせた、これはまた土用中、酷暑の砌を御勉強な、かたぎ装の本場らしい芸妓を連れた、目立たない洋服の男が居て、件の色親仁を視ながら、芸妓と囁いて、何だろう?――(分った、能役者だ。)と――言った。私は慄然として膚粟を生じた。正にそれに相違ないのだから。……流儀は違うが、額も、鼻も、光る先生、一廉のお役者で、評判の後家――いや、未亡人――いや、後室たらしさ。
――あとで知ったが、その言当てた男は、何とか云う、小説家だったって――餅屋は餅屋だと思ったよ。――
そんな脂切ったのがあるかと思うと、病上りの蒼っしょびれが、頬辺を凹まして、インバネスの下から信玄袋をぶら下げて、ごほごほ咳をしながら、日南を摺足で歩行いて行く。弟子廻りさ。(どうなすった先生。)――(あいかわらず腎臓が不可ませんでな。)なんぞはまた情ない。が、決して悪く言うんじゃない。絞って肥ったのも、吸われて痩せたのも、皆これ、お互に食うためさ。今日の餌食ゆえです。汝一人ならどうにか中くらいにでも食えようが、詮ずる処、妻子眷族、つづいては一類一門のつながりに、稼がないではいられないからだよ。