Japanische Klassiker mit Furigana
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らんとうばのてんにょ
卵塔場の天女
泉 鏡花
Lesen Sie 卵塔場の天女 (らんとうばのてんにょ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.251 Zeichen · 94 Bildschirme
「早打肩(脳貧血)だ。」
「恋の怨みだ。」
「薄情の報だ。」
と急遽囁き合う声があちこちして、天井まで湧返る筈を、かえって、瞬間、寂然とする。
もうその時、天人は、転んだ踊子が、お母さんに抱かれるように、お悦に背を支えられて、しかし静に、橋がかりを引いて行く。……一の松、二の松、三の松に、天人の幻が刻まれて、その影が板羽目に錦を映しつつ、藻抜けて消えたようなシテの手に、も一度肩を敲いて、お悦が拾って来た扇を渡したのが幕際であった。
幕は消して取った。
同時に、少し横なぐれになるまで、身に振を加れて、今度は、友染の褄を蹴て、白足袋で飛ぶように取って返すと、お悦が、私の手を取るが迅いか、引出すのに、真暗になって、木戸口へついて出た。その早い事、私が第一に目についたのは、青いような駒下駄の鼻緒で、お悦はもう自分のを、自分で抜いて取って、私の下駄をポンと並べた。
それよりして松林のたらたら下りを一散に駆出した。
「御免なさい、先生。――八郎さんに逢うまでは何にも聞かずに下さいましよ。」
「?……他国ものです、方角が分りませんから、何事も貴女次第です。」
町もこの辺は場末らしい。