Japanische Klassiker mit Furigana
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はんこう
反抗
豊島 与志雄
Lesen Sie 反抗 (はんこう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.121 Zeichen · 282 Bildschirme
周平が黙ってると、暫くして低い声で云った。
「人の前でお父さんやお母さんのことを云っちゃいけないんだって、本当かしら?」
「誰がそんなことを云ったの。」
「お祖母さんが云ったよ。」
「そう。だが僕にならいくら云ってもいいよ。」
然し隆吉はもう何とも云わなかった。手と足とで彼の背中に強くしがみついてきた。彼はそれを長く下さなかった。急な坂の曲りくねった小径を下りつくして、息が苦しくなった時に、後ろへ廻した手をゆるめた。隆吉はぴょんと飛び下りて、ひょろ長い首で重そうな頭を少し傾げながら、何気ない様子で池の中を覗き覗き歩いた。
「鯉は何処にいっちゃったんだろう。」
池の面は、長い物影を宿して黝ずんでいた。西に沈んでゆく日の光りが、眼に見えるように感じられた。
「もう帰ろう、遅くなるから。」
隆吉は返辞もせず首肯きもしなかったが、周平と一緒に足を早めた。二人は水禽の檻の前をもすたすた通り過ぎた。
電気や瓦斯の火がともるに間もない薄ら明りだった。慌しい街路の雑沓に巻き込まれると、隆吉は肩をすぼめて寄り添ってきた。周平も其方へ身を寄せて歩いた。
彼の頭の中ではもう、お清のことも保子のことも遠くへ距っていた。