Japanische Klassiker mit Furigana
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はんこう
反抗
豊島 与志雄
Lesen Sie 反抗 (はんこう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.121 Zeichen · 282 Bildschirme
河岸通りは暴風に吹き清められたように、物影もなく広々と而も薄暗く続いていた。方向の分らない寒い風が寄せて来た。周平は身を震わした。外套も襟巻もないみすぼらしい自分の姿が、初めて惨めに顧みられた。
「おう寒い。」
お清は独語のように呟いて、つと身を寄せてきたが、彼の背へ手を廻して、肩掛を半分ふわりと投げかけた。彼は懐から手を出して、その端を胸に押えながら肩をすぼめた。もう何物にも逆いたくなく、何事も考えたくなかった。
砲兵工廠の石塀に沿って暫く歩いた後、お清は肩掛の中から突然云った。
「井上さん、あなたその奥さんと何でもないというのは、全く本当なの?」
低い声ではあったが真剣な調子だった。然し周平はそれに心が向いていなかった。一寸間を置いてから事もなげに答えた。
「何でもないよ。」
「でも、心ではその奥さんのことを想ってるんでしょう。」
「想ってやしないよ。」
それから二十歩ばかりして、彼女はまた云った。
「全く何でもないの!」
「ああ。」と周平は答えた。
「嘘じゃないのね。」
「本当だよ。」
お清は一寸肩を震わした。周平は変な気がした。彼女がいやに執拗なこだわり方をしてることが、彼の心に或る冷たいものを与えた。