Japanische Klassiker mit Furigana
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こきんしゅうまきのご
古今集巻之五
山本 周五郎
Lesen Sie 古今集巻之五 (こきんしゅうまきのご) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.482 Zeichen · 43 Bildschirme
「いずれにせよ」と暫く考えてから五郎太が云った、「人間ひとりが自殺するということは尋常ではない、なにか原因があるに相違ないだろうが、本当に永井には思い当ることはないのか」
「この家の生活は単純だ、父は隠居所にこもったきりだし、姑がいるわけでもなく、召使をべつにすれば夫婦二人きりだ」と主計が云った、「死ななければならないような事情があったとは思えないし、もしもそんなことがあればおれにわからないわけがないと思う」
「夫婦二人きり」と呟いて、ふと五郎太は眼をあげた、「結婚して何年になる」
「母が亡くなり父の倒れた年だから、――ちょうど三年だ」と云って、これまたどきっとしたように、五郎太を見た、「うん」と主計は頷いた、「杉江もそのことは気にやんでいた」
五郎太は黙って主計の顔を見まもった。
「去年の十月、たしか十月だったろう」と主計は続けた、「杉江は灸寺へゆきたいと云いだした、灸寺というのは母もいったことがある、法頭山慈命寺というのだが、五百年伝来という名灸でよく知られ、遠国からも治療に来る者が少なくないそうだ」
「講釈には及ばない、知っているよ」
主計は屹となった、「講釈だって、――おれが講釈しているというのか」