Japanische Klassiker mit Furigana
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こじょうのまひる
古城の真昼
野村 胡堂
Lesen Sie 古城の真昼 (こじょうのまひる) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.644 Zeichen · 28 Bildschirme
梅雨時の谷川は、水かさを増して、山の上からエライ勢いで逆落しに、用水堀の中へ落ちて居ります。城跡は蜂屋文太郎が言った通り、大根畑のように掘り荒され、石畳も石垣も滅茶苦茶に動かされて、元の形を存して居るものは一つもありませんが、城跡の後の盆地に唯一基の石碑だけが、貴いもののようにそっと残されて居ります。
「成程これだ」
「ドレドレ」
ぐるりと十二人、六七尺の自然石の碑を取巻いて、ためつすかしつしますが、風雨に磨滅した上、散々に苔蒸してどう見当をつけても読み下せません。
「桑田縦変――珠玉黄金――相伝――これだけは読める、よしや桑田変じても、珠玉黄金が子孫に伝わるというような事だろう」
先達の蜂屋文太郎が、苔を撫で乍ら暗示を与えてくれます。
「その次は、夏日咸陽、巴水……次は何んと書いたか解らない。溝渠という文字もある。暗動という文字もある。兎も角、何んの事か、これだけでは一向見当が付かない。最後の四字は――玄之又玄、どうです。解りましたか」
六つかしい問題を出した小学校の先生のように、蜂屋文太郎は、反り身になって一向を見廻しました。
「解るわけは無い。数百年来何千人の人がこれで頭をひねったんだ。