Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こじょうのまひる

古城の真昼

野村 胡堂

Lesen Sie 古城の真昼 (こじょうのまひる) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.644 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

五

「…………」

生月駿三は、黙って斜に上の方を指しました。井戸の側に繁った桂の大木の枝に、ブツリと突立ったのは、青光りのする錐へ、真新らしい紙を巻いた真物の吹矢です。

「アッ吹矢!」

「これが、みっちゃんの眼を狙ったんだ、的面に突っ立つと命が危ない」

生月駿三が娘を突き飛ばしたのは、その吹矢から救う為だったのです。

五

やがて生月駿三は、完全にこの探検隊を支配してしまいました。この男――テアトル築地の人気を背負って立つ優男――のすることは、何んかしら根強い理由があって、グイグイと人を圧伏する力が潜んで居るのです。

「あと十分」

その中で、蜂屋文太郎だけは超然として、圏外に立ったままジッと腕時計を見詰めて居ります。この男には何んか違った考えがあるらしい事は判りますが、それが何んな事なのか、今のところ少しもわかりません。

「どうしましょう、あと十分、私にはどうしても判らない、たった一箇所だけ……」

光子の美しい眼は、救いを求めるように、生月駿三の顔を見上げました。

「みっちゃん、心配するな」

やさしく娘を顧みた生月は、探検隊を一と渡り見廻して、

「みなさん、手を貸して下さい。