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Japanische Klassiker mit Furigana

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こじょうのまひる

古城の真昼

野村 胡堂

Lesen Sie 古城の真昼 (こじょうのまひる) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.644 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

この井桁を取り払うんだ。……あぶない……井戸の中を覗いちゃいけない。その中には怪物が居る」

六七人力を併せると、四枚の御影を畳んだ井桁は何んの苦もなく取り払われて、石畳の上に陥穽のように、空井戸は真黒な口をポカリとあきました。

「サア猪が飛出すぞ」

谷川の此方を塞いだ一枚岩を取り除けて、用水堀へ落ちる口を塞ぐと、梅雨にふくれた山水の大量がサッと音を立てて石畳の凹みを這い、取り除いた井桁の跡から、底も知れぬ空井戸の闇の中へ、唸りを生じて落ちこみます。

「ワッ、ブルブル」

落ち込む水の中から顔を出したのは、猪とはよく言った、髭武者の山男、井桁の下の凹みに隠れて娘に古風な飛道具を吹き付けたのを、生月に発見されて、思いもよらぬ水攻めを食わされたのです。

「助けて」

とうとう悲鳴をあげてしまいました。僅に石畳へ両手をかけて、上半身を持ち上げたのも暫らく、猛烈な水に掃き落されて、あわや底も知れぬ空井戸の中へ落込み相になります。

「そら、獲物だ」

「オウ」

とゆるぎ出たのは、今まで時計と睨めっこをして居た蜂屋文太郎、ズカズカと傍へ寄ると、僅に井戸の縁にかかった兇漢の両手を取って、軽々と上へ引上げます。