Japanische Klassiker mit Furigana
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うもんとりものちょう
右門捕物帖(四)
佐々木 味津三
Lesen Sie 右門捕物帖(四) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.105 Zeichen · 337 Bildschirme
「やりきれねえな。わざわざそんな遠方へ行かなくとも、近くになじみのお湯がちゃんとあるじゃござんぜんか。河岸っぷちのは鳶人足や沖仲仕が行くところなんだから、がらがわりいんですよ。それに、湯もちっと熱すぎるんだ。こっちへおいでなせえよ」
しかし、名人は何か思うところがあるとみえて、相手にもせず河岸っぷちのそのお湯屋の、てんぐぶろと染めぬいたのれんをさっとくぐりました。
先客がある。もうもうとたちこめている湯気の中に、一つ、二つ、三つ、四つ、合わせて六つほどの黒い頭が見えるのです。
湯はもとより熱い。てんぐぶろとはいかさま鼻を高くするだけあって、じつになんとも焼けただれそうな熱湯でした。
「チ、チ、チ、しみりゃがるね。ちくしょうめッ。いいこころもちすぎて涙が出りゃがらあ――おい、動くなよ、動くなよ。動くと鉄砲玉のようなやつが来るんだから、じっとしていてくんな」
悲鳴をあげている伝六をよそにして、こともなげに名人はその熱いのに首までつかると、目がしきりと鋭く動くのです。しかも、その的は、六人の先客の背中でした。鳶人足、沖仲仕など勇みはだの者が多いといったのは事実であるとみえて、そのうち三人の背から腕には、倶利伽羅紋々の勇ましい彫りものが見えました。