Japanische Klassiker mit Furigana
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よしわらしんわ
吉原新話
泉 鏡花
Lesen Sie 吉原新話 (よしわらしんわ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.157 Zeichen · 75 Bildschirme
三
大方はそれが、張出し幕の縫目を漏れて茫と座敷へ映るのであろう……と思う。欄干下の廂と擦れ擦れな戸外に、蒼白い瓦斯が一基、大門口から仲の町にずらりと並んだ中の、一番末の街燈がある。
時々光を、幅広く迸しらして、濶と明るくなると、燭台に引掛けた羽織の袂が、すっと映る。そのかわり、じっと沈んで暗くなると、紺の縦縞が消々になる。
座中は目で探って、やっと一人の膝、誰かの胸、別のまた頬のあたり、片袖などが、風で吹溜ったように、断々に仄に見える。間を隔てたほどそれがかえって濃い、つい隣合ったのなどは、真暗でまるで姿が無い。
ふと鼠色の長い影が、幕を斜違いに飜々と伝わったり……円さ六尺余りの大きな頭が、ぬいと、天井に被さりなどした。
「今、起ちなすったのは魯智深さんだね。」
と主は分らず声を懸ける。
「いや、私は胡坐掻いています、どっしりとな。」
とわざと云う。……描ける花和尚さながらの大入道、この人ばかりは太ッ腹の、あぶらぼてりで、宵からの大肌脱。絶えずはたはたと鳴らす団扇づかい、ぐいと、抱えて抜かないばかり、柱に、えいとこさで凭懸る、と畳半畳だぶだぶと腰の周囲に隠れる形体。