Japanische Klassiker mit Furigana
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きらこうずけのたちば
吉良上野の立場
菊池 寛
Lesen Sie 吉良上野の立場 (きらこうずけのたちば) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.369 Zeichen · 24 Bildschirme
「今度の勅使饗応の費用の見積りですが、ちょっとお目通しを」といって、内匠頭が奉書に明細な項目を書いたのを差し出した、畠山は、それをしばらく眺めていたが、
「わしには、こういうことは分からんから、吉良に――ちょうど、来ているようだから」と、いって鈴の紐を引いた。坊主が、
「はい」といって、手を突いた。
「吉良殿に、ちょっとお手すきなら、といって来い!」
「はっ!」
坊主が立ち去ると、
「とんだ、お物入りですな」と、畠山がいった。
「この頃の七、八百両は、こたえます」
「しかし、貴殿は塩田があって裕福だから」
「そう見えるだけです」
「いや、五万三千石で、二百何十人という士分がおるなど、ほかでは見られんことですよ。裕福なればこそだ」といったとき、吉良上野がはいって来た。
「浅野殿の今度の見積りだが、今拝見したが、私には分からん。肝煎指南役が一つ!」
畠山が書付を、吉良へ渡した。
「なかなか早いな。どうれ」
吉良は、じっと眺めていたが、
「諸事あまりに切りつめてあるようじゃが」と、内匠頭の顔を見て、
「これだけの費用じゃ、十分には参らぬと思うが」と、つけ足した。
「七百両がで、ございますか」