Japanische Klassiker mit Furigana
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きらこうずけのたちば
吉良上野の立場
菊池 寛
Lesen Sie 吉良上野の立場 (きらこうずけのたちば) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.369 Zeichen · 24 Bildschirme
「そうだ」
「しかし、これまでのがかかりすぎているのではありませんか、無用の費は、避けたいと思いますので」
上野は、じろっと内匠頭をにらんで、
「かかりすぎていても、前々の例を破ってはならん。前からの慣例があって、それ以下の費用でまかなうと、自然、勅使に対して失礼なことができる」
「しかし、礼不礼ということは、費用の金高にはよりますまい!」
「それは理屈じゃ。こういうことは前例通りにしないと、とかく間違いができる」
「しかし、年々出費がかさむようで……」
「仕方がないではないか。諸式が年々に上るのだから、去年千両かかったものが、今年は千百両かかるのじゃ」
「しかし、七百両で仕上りますものを、何も前年通りに……」
「どう仕上る?」
「それは、ここにあります」そういって、内匠頭は書状を差し出した。
「それは、とくと見た。しかし、そうたびたびの勤めではないし、貴公のところは、きこえた裕福者ではないか。二百両か五百両……」
「一口に、おっしゃっても大金です。出す方では……」
「とにかく、前年通りにするがいい」吉良の声は少し険しくなっていた。
「じゃ、この予算は認めていただけませんか」