Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 吸血鬼 (きゅうけつき) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.554 Zeichen · 381 Bildschirme
「その話は読んだことがあります。でも、まさかこの群像に宝石が隠してある訳ではありますまい。小さな宝石を隠すのに、こんなべら棒な群像を作る必要もない訳ですからね」
三谷は素人探偵の空想を笑った。
「イヤ、僕はなにも石膏像に隠されるものが、いつも宝石に極っているとはいいません。ある人にとっては、宝石よりも、もっと値打のある、そしてまた、こんな大きな群像の中でなければ、隠し切れないようなものも、あるだろうと思うのです」
寺のお堂の様な感じのアトリエの中へ、僅に開かれた窓々から、いつともなく、夕闇が忍び込んで来た。
真白な裸女達は、肌の陰影が薄れて、夢の様な、たそがれの灰色の中へ、溶けこんで行くかと見えた。
「ごらんなさい。このまずい塑像の中に、三体だけ、他のとは比べものにならぬ程、よく出来た像があります。僕はさい前から、それに気づいていました」
明智は、その三人の裸女を、一人一人指さしながらいった。
成程、そういえば、五人の拙い裸女の蔭に、隠れるようにして、三人の生きた女が、夫々のポーズで蹲っていた。
夕闇が、荒削りな肌の細部を隠してしまったので、その三人の、生けるが如き五体が、まざまざと浮かび上ったのだ。